本研究では、第二言語としての日本語ライティング評価においてこれまで研究されてこなかった「ナラティブ」を研究対象とし、ナラティブのGood Writingの探究とその評価法の開発によって教師支援を行うことを目的とする。
研究内容の概要は以下のとおりである。
・GoodWriting科研では、ナラティブを含む5種類のプロンプト(ナラティブ、描写、比較対照の説明、論証等のモード)で、ヨーロッパ、アメリカの日本語学習者が書いた作文データが収集されている。本研究では、東南アジア(タイ、ベトナム、インドネシア)を中心に、ハンガリーの日本語学習者も加え、大学で日本語を学ぶ学習者によるナラティブ作文データを収集する。また、比較群として日本人大学生による作文も収集することとする。それらの分析により、ナラティブのGood Writingを探る。
・英語のナラティブ作文のルーブリック、論証型の作文で示されている評価項目等によりナラティブ作文の評価項目について検討し、日本の大学で作文指導をしている日本語教師を対象としたナラティブ作文評価の予備調査により、評価項目の妥当性を検証する。
・東南アジア(タイ、ベトナム、インドネシア)の大学で日本語を教える日本語教師を対象に、上記評価項目を用いて、作文評価の調査を実施する。その上で、各国の特徴についても明らかにする。
・最終的に、ナラティブ作文の評価基準を作成し、レベル別サンプル作文も公開する予定である。